初めに
コンベヤで物を搬送する環境は室温または外気の環境が圧倒的に多いのですが、しかし、100℃、200℃またはそれ以上の高温雰囲気で搬送する、あるいは高温に加熱された物を室温下で搬送するというケースも多く見られます。
今回はそれらの高温環境下で搬送する場合のベルトトラブルの原因、特に蛇行、片寄りなど、
また高温環境に適したベルト選定のポイントについて解説します。
高温搬送で発生するベルト蛇行の原因は、ベルトそのものの耐熱性能だけではありません。プーリやフレームの熱膨張による張力変化が原因となるケースもあります。そのため、高温搬送用ベルトを選定する際は、使用温度だけでなく設備条件も含めて検討することが重要です。

高温搬送で発生するベルト蛇行・熱膨張トラブルとは
高温環境ではベルト材料が熱の影響を受けます。その結果、ベルト寿命の短縮や搬送精度の低下につながることがあります。
① ベルトの熱劣化:樹脂系ベルトでは、材質によっては軟化や硬化が生じ、クラックや変形につながる場合があります。
② ベルトの蛇行・位置ズレ:温度上昇によってベルトやプーリ、フレームなどが熱膨張すると、左右の張力バランスやプーリ間距離が変化し、蛇行やセンタリング不良が発生することがあります。
③ 製品品質のばらつき:高温工程では、搬送面の状態が製品品質に影響する場合があります。特に、フィルム、電子部品、電池材料、焼成製品などの工程では、搬送時のわずかな変化が品質ばらつきにつながることがあります。

図1 高温搬送で発生しやすい代表的なトラブル
耐熱ベルトに交換しても改善しないケースがある
現場では、「耐熱ベルトに交換したのに蛇行が改善しない」「昇温後だけ蛇行する」といった問題が発生することがあります。
耐熱ベルトに交換しても改善しない場合は、設備側の張力設計や温度変化による運転条件の影響を確認する必要があります。
高温搬送用ベルトを選定する際の4つの確認ポイント
高温搬送では、使用温度だけでなく運転条件も踏まえてベルトを選定することが重要です。主な確認項目は以下の通りです。
① 搬送温度(最高温度、常用温度、温度変化の有無)
② 搬送物の特性(重量・サイズ・形状)
③ 必要な搬送精度
④ 運転条件(連続運転時間・搬送速度・メンテナンス頻度)
これらの条件を踏まえてベルトを選定した結果、用途によってはスチールベルトが有力な選択肢となるケースがあります。
高温搬送でスチールベルトが選ばれる理由
高温搬送では、熱による寸法変化や搬送面の不安定化が品質や搬送精度に影響することがあります。そのため、寸法安定性や平坦性が求められる工程では、スチールベルトが採用されるケースがあります。
① 寸法安定性に優れる:スチールベルトも熱によって膨張しますが、一般的な樹脂ベルトと比較すると温度変化による寸法変化を抑えやすい特徴があります。
② 平坦性を維持しやすい:フィルムや電子部品など、搬送面の安定性が求められる工程で採用されることがあります。
③ ベルト交換頻度の低減につながる可能性:樹脂ベルトの熱劣化が課題となる工程では、交換頻度の低減や保守負担の軽減につながる場合があります。
スチールベルトが検討される主な工程
実際に、以下のような高温環境や高い搬送安定性が求められる工程では、スチールベルトが検討されることがあります。
・フィルム搬送
・電池材料搬送
・電子部品搬送
・乾燥炉工程
・焼成前後工程
こんな症状がある場合は見直しを検討
以下のような症状が継続して発生している場合は、使用条件やベルト選定の見直しのタイミングかもしれません。
ベルト交換頻度が増えている
高温時に蛇行が発生する
張力調整を頻繁に行っている
品質ばらつきが増えている
停止を伴う保守作業が増えている
よくある質問(FAQ)
Q. 高温搬送では、なぜベルトが蛇行するのですか?
A. ベルト自体の熱膨張だけでなく、プーリやフレームの熱変形、設備内の温度ムラによる張力バランスの変化なども蛇行の原因となります。そのため、ベルト交換だけでは改善せず、設備側の確認が必要になるケースもあります。
Q. スチールベルトは高温搬送に適していますか?
A. 高温下でも寸法安定性や平坦性が求められる用途では、有効な選択肢の一つになりえます。
Q. ベルトの蛇行は設備側が原因になることもありますか?
A. はい。プーリ芯ずれやフレーム変形、熱による膨張など設備側の要因が関係するケースもあります。
以上のように述べて来ましたが、やはり高温雰囲気では蛇行、片寄りはなかなか収まらない状況が多いです。
ディムコはこのような場合の解決方法の装置として「EPC蛇行防止装置」をお勧めしています。全自動で片寄りを防止してくれるので安心して搬送ができます。
まとめ
高温搬送で発生するトラブルは、単純な耐熱性能の不足だけが原因とは限りません。
設備の熱膨張や運転条件の変化が影響している場合もあります。

図2 高温搬送トラブルの主な原因と対策
ベルトの蛇行や寿命低下にお悩みの場合は、設備条件や搬送条件を踏まえたベルトの見直しを検討してみてください。ディムコでは搬送条件や温度条件を確認しながら、スチールベルトを含めた最適な搬送方式をご提案しています。